会議の内容は詳しく残した。それなのに、会議後に誰も動いていない。
議事録を作っていて、このような経験はありませんか?
議事録は、発言をきれいに要約するだけの文書ではありません。大切なのは、何が決まり、誰が、何を、いつまでに行うのかが分かることです。
これは、AIに議事録の下書きを任せる場合も変わりません。AIは会議で話された内容をもとに整理します。担当者や期限を誰も口にしていなければ、完成した議事録にも正確には残せません。
この記事では、会議前の準備から会議中の発言、AIが作った下書きの確認までを順番に解説します。記事内のテンプレートを使えば、次の4点が分かる議事録を作れます。
- 決定事項:何を、どの条件で決めたか
- 未決事項:何が決まらず、次にどう判断するか
- ToDo:誰が、何を、いつまでに行うか
- 確認先:疑問があるときに、誰へ確認するか
なお、本記事の手順とテンプレートは執筆時点の提案であり、執筆者本人による検証結果ではありません。社外秘や個人情報を含む会議では、録音・文字起こし・生成AIの利用可否を会社のルールで確認してください。
議事録の目的を「記録」ではなく「次の行動」にする
議事録は、会話をすべて残すより、会議後に必要な判断と行動を先に読める形にします。
発言を時系列で詳しく書くと、会議の流れは分かります。しかし、決定事項や自分の担当作業を探すために、長い文章を最初から読まなければなりません。
そこで、議事録の先頭には「決定事項」「未決事項」「ToDo」を置きます。議論の要約や発言の経緯は、その後です。
会議メモ、文字起こし、議事録は役割が異なります。
| 種類 | 主な目的 | 残す内容 |
|---|---|---|
| 会議メモ | 自分が忘れても思い出せるようにする | 気づき、疑問、重要な発言 |
| 文字起こし | 会話を時系列で残す | 誰が何を話したか |
| 議事録 | 参加者が次に動けるようにする | 決定、未決、ToDo、担当、期限 |
自分用の記録を残したい場合は、既存記事の会議メモの取り方も参考にしてください。本記事では、参加者へ共有し、仕事を前へ進める議事録に絞って説明します。
会議前に「どんな議事録にするか」を決める
AIを使う場合も、会議前に議事録の項目と、会議で決めたい問いを用意しておきます。
会議が終わってから白紙の文書を開くと、発言をどこまで残すべきか迷います。先に枠を作り、会議中はその空欄を埋めるように進めてください。
まず、会議の目的を「情報共有」「意見出し」「意思決定」のどれかに分けます。目的によって、残すべき情報が変わるからです。
- 情報共有:変わった事実、影響する相手、確認が必要な点
- 意見出し:出た選択肢、評価基準、次に絞り込む方法
- 意思決定:決める問い、決定者、選んだ案、適用条件
議題も「新しい申請方法について」のような名詞だけで終わらせません。「申請方法をA案とB案のどちらにするか」のように、会議で答えを出したい問いにします。
AI議事録を使う場合は、出力する見出しも会議前に設定します。少なくとも「決定事項」「未決事項」「ToDo(担当者・期限)」「議論の要点」の4つを指定しておくと、この記事のテンプレートへ移しやすくなります。
AIによる記録を開始する前に、参加者への通知、録音や文字起こしの保存先、共有範囲、機密情報を話してよいかも確認します。利用する会議ツールだけでなく、自社と相手先のルールに従ってください。
会議そのものの目的や参加者を整理できていない場合は、会議で失敗しないための事前準備から確認すると進めやすくなります。
AIが議事録に整理しやすいように発言する
会議中は、「決定」「担当」「期限」「未決」を言葉にし、発言が重ならないようにします。
人なら前後の雰囲気から分かる内容でも、文字起こしでは曖昧になることがあります。「それでいきましょう」「お願いします」だけでは、何を決め、誰に頼んだのかが残りません。
特に、決定した直後と議題が変わる直前は、主語と対象を補って言い直します。
- 決定を明示する:「この件は、A案で進めることに決定します」
- 担当者を名前で示す:「見積もりの確認は、山田さんが担当します」
- 期限を日付で示す:「なるべく早く」ではなく「9月8日17時まで」と話す
- 未決を決定と分ける:「候補には残しますが、今日は決定しません」
- 略語を補う:最初の発言では、社内略称だけでなく正式な対象も話す
- 一人ずつ話す:同時に話さず、相手の発言が終わってから発言する
一文を不自然に細かく区切る必要はありません。ただし、結論や依頼を伝える場面では、短い文で区切ってください。複数人の発言が重なったり、マイクから離れて話したりすると、文字起こしの確認が難しくなります。
また、担当者が決まっていないのに、AIに名前を補わせてはいけません。「担当者は未定。9月5日までに部長が決める」のように、未定であることと、次に決める人・期限を話します。
議題ごとに決定事項・未決事項・ToDoを確認する
議題が終わるたびに、決定・未決・ToDoを読み上げ、参加者の認識をそろえます。
会議後に議事録担当者だけで内容を整理すると、決定したつもりのことが、ほかの参加者には「案の一つ」だったというずれが起こります。
議題を切り替える前に、進行役または議事録担当者が次のように確認します。
この議題は、A案で進めることに決定しました。山田さんが修正案を9月8日17時までに共有します。費用の上限は未決なので、鈴木さんが9月6日までに確認する、という理解で合っていますか?
これは発言方法を示すための仮想例です。
AIの画面にリアルタイムの要約が表示される場合も、その表示だけで合意したことにはしません。参加者へ口頭で確認し、必要ならその場で修正してください。
会議の最後には、ToDoを担当者ごとに読み上げます。担当者本人が、内容・期限・完了条件を理解しているか確認できれば、議事録を共有しただけで終わる状態を防げます。
実行管理型の議事録テンプレートを使う
先頭に決定事項・未決事項・ToDoを置き、議論の要約は後ろへ分けます。
次のテンプレートを、Word、Googleドキュメント、Notion、社内Wikiなどへコピーして使ってください。AI議事録の出力項目を、この見出しに合わせても構いません。
# 会議名
日時:
参加者:
目的:
今回決める問い:
## 決定事項
- 決めた内容:
- 対象・範囲:
- 適用日・条件:
- 確認者・決定者:
## 未決事項
- 未決の論点:
- 決められなかった理由:
- 次に確認する人:
- 確認期限:
- 再判断する日・場:
## ToDo
| 担当者 | やること | 期限 | 完了条件 |
| --- | --- | --- | --- |
| | | | |
## 議題ごとの要点
### 議題1
- 事実・前提:
- 主な選択肢・意見:
- 決定理由:
- 懸念・例外:
## 参照資料
-
## 確認方法
- 内容に誤りがある場合の連絡先:
- 修正連絡の期限:
ToDoの「やること」には、名詞だけでなく動詞を入れます。「見積もり」ではなく「3社から見積もりを取得する」と書くと、担当者が次の行動を判断できます。
完了条件も忘れないでください。「資料を作る」だけでは、下書きの作成で終わりなのか、上司の承認まで必要なのか分かりません。誰が見ても終わったと判断できる状態を書きます。
AIが作った議事録は共有前に人が確認する
AIの議事録は完成品ではなく、文字起こしや会議資料と照合する下書きとして扱います。
AIが読みやすい文章を作っても、決定と提案を取り違えたり、担当者や期限を誤ったりする可能性があります。文章全体を一字ずつ読む前に、仕事への影響が大きい項目から確認します。
- 決定していない案が「決定事項」へ入っていないか
- 決定事項の対象、条件、適用日が合っているか
- ToDoの担当者、期限、完了条件が合っているか
- 未決事項と、次に判断する人・期限が残っているか
- 人名、部署名、製品名、金額、日付に誤りがないか
- 話されていない内容をAIが補っていないか
- 共有範囲に含めてはいけない機密情報がないか
誤りを見つけたら、AIの文章だけを見て推測で直さず、文字起こし、録音、会議資料、参加者への確認へ戻ります。元の記録でも判断できなければ、「要確認」または「未決」として残してください。
会議中に担当者や期限を決め忘れた場合も同じです。空欄をAIに埋めさせず、関係者へ確認します。書いてありそうな議事録より、未確認箇所が分かる議事録のほうが安全です。
会議後は議事録を共有してToDoを管理へ移す
議事録を共有したら、ToDoを普段使っているタスク管理へ移し、担当者が着手できる状態にします。
議事録の作成は、会議後の行動を始めるための途中工程です。共有メールやチャットには、長い要約を貼るより、決定事項とToDo、議事録のリンクを先に書きます。
- 決定事項の要約
- 担当者ごとのToDoと期限
- 未決事項と、次に確認する人
- 議事録へのリンク
- 誤りを連絡してほしい期限と連絡先
その後、ToDoをチームで使っているタスク管理ツールや一覧へ登録します。議事録に残したままでは、普段の仕事の確認から漏れる可能性があるためです。
期限が近づいても担当者から反応がない場合は、相手を責める前に、依頼内容・期限・影響を短く伝えて確認します。仕事が複数重なっている場合は、仕事の優先順位のつけ方も参考にしてください。
まとめ
仕事が進む議事録は、会議前に枠を作り、会議中に決定・担当・期限を言葉にし、AIの下書きを人が確定して完成します。
AIを使えば、文字起こしや要約にかかる作業を任せられます。しかし、どのような議事録にするのかを決め、曖昧な点を会議中に確認するのは人の役割です。
- 会議の目的と、今回決める問いを決める
- 決定事項・未決事項・ToDoの枠を先に作る
- 会議中に決定・担当・期限を言葉にする
- 議題ごとに参加者の認識を確認する
- AIの下書きを人が照合し、ToDoを管理へ移す
まずは次の会議の前に、この記事のテンプレートをコピーしてください。そして、議題を「何について話すか」ではなく、「会議で何を決めるか」に書き換えるところから始めましょう。


コメント