私は会社で業務の自動化・改善といった仕事を多く行ってきました。
たとえば、以下のような内容です。
- 人が手作業で行っていたデータ集計作業の自動化(RPA)
- 定例会議資料の自動作成ツールの開発(Excel)
効率化と聞いて上のような自動化を思い浮かべる方は多いと思います。
確かに自動化を行うと仕事のスピードは劇的に上がります。
それは間違いありません。
でも効率化をするときに行うべきステップを間違えるとほとんど効果がなくなってしまうこともあります。
今日はそれらの経験から学んだ効率化を進める上での落とし穴と正しい効率化のステップについて解説していきたいと思います。
正しい効率化ステップ
まずは、結論から述べていきます。
正しい効率化の順番は以下です。
では、なぜこの順番なのかについて解説してきます。
一番やってはいけないこと|効率化の落とし穴
一番やってはいけないことは、「今やってる業務をそのまま自動化すること」です。
自動で仕事が楽になるんだから、それでいいんじゃないの?
こう思われる人もいるかもしれません。
はっきりいいます。
絶対ダメです。
かのドラッガーさんもこんなことを言っています。
「もともとすべきでなかったことを、能率・効率よく行なうことほど、無駄なことはない。」
ピーター・ドラッガー
この言葉がそのものズバリを言ってくれています。
わかりにくい方もおられるかもしれませんので、具体例で説明します。
大事なのは「目的」を考えること
あなたが、毎週行われている定例会議の資料を関係者に送付する仕事を担当しているとします。
以下のような仕事の進め方をしていると仮定しましょう。
こういった仕事はサラリーマンの方ならよくあるかと思います。
もしこの業務を効率化したいと考えた場合どのようなアイデアが考えられるでしょうか?
例えば以下のようなものが考えられると思います。
結構いいアイデアのように見えませんか?
でも、これが一番やっちゃいけないことなんです。
これをやってしまうと効率化において一番最悪の事態に陥る可能性があります。
最悪の事態とはなんでしょうか?
これです。
前任の担当者から仕事を引き継いてやっていたときなどにこの事態に陥る可能性が高いです。
前任の担当者の時代には、関係者もその情報を必要としていたのかもしれません。
でももう、販売データは関係者が自ら調べることができるため必要なくなっていたりすることがあります。
仕事の効率化を考えるときに最も大事なのはその仕事の「目的」を考えることです。
- その資料の目的は何なのか?
- 関係者はその資料を必要としているのか?
これらのポイントしっかりとおさえることが最も重要です。
もし、関係者の方に「資料は必要ですか?」と聞いてみたら
「いらない」と言われてそれで終わることもできたかもしれません。
目的が確認できたら、あとはやるだけ
目的さえ確認できたらあとは簡単です。
以下の順番で進めていけばいいです。
①やめることができないか検討する
まずはやめることができないか検討します。
これが最も効率化としての効果が高いです。
- 自身がやらなくても同じ効果を達成する方法はないか
- やめて誰か困る人はいないか
こういった点を確認した上でやめることができれば、多くの時間を手に入れることができます。
これ以降のことを考えることも不要となるので、まずは「やめることができないか」という点を考えてもらえるとよいかと思います。
②方法を変えることができないか検討する
やめることはできないとなった場合に、次に考えるべきなのは「方法を変えることができないか」です。
やめることができない→自動化
とするのは時期尚早です。
さきほどの例で言うならば、「今まではメールの送信だったものをクラウドや共用のサーバーに保管してデータを確認してもらえるようにする」が該当します。
メール送信を自動化するには、そのプログラムを作ったりする時間・お金がかかります。
方法を変えるだけで、同じことが達成できることもたくさんありますので、
ただ時間を短くする効率化ではなく、手法を変えるということを検討してください。
③自動化する
最後に今の仕事を自動化できないかということを検討してください。
やめることもできない。
方法も変えることはできない。
そこで初めて自動で行うための方法について考えるようにしてください。
また自動化を行う際にも、仕事のやり方を変えれば自動化できるということもたくさんあると思います。
業務の流れをフロー図などで整理して考えていけば、自動化のときに考えやすいので、そういったツールもぜひ使用していきましょう。
思い切って「やめてみる」のも手かもしれませんよ
関係者が多くていちいち目的なんて確認してられない。
こういった方もおられるかもしれません。
そういう方はまず思い切ってその仕事をやめてみるというのも手かもしれません。
やめてみれば、本当に誰か困る人がいるのかということがわかります。
私も実際、月報の作成をやめてみたことがありますが、誰からもなんの連絡もありませんでした。
ムダなことをしていたのかを少し悲しい気持ちにもなりましたが、月報の作成のために使っていた時間がまるまる浮いたので、結果的には良かったと思っています。
まとめ
今回は効率化を進める上で陥りやすい落とし穴と正しい効率化のステップについて解説しました。
おさらいです。
- 今の仕事をそのまま効率化しようとしてはいけない
- まずは、その仕事の目的を考える
- 効率化のステップ
- やめることができないか検討する
- 方法を変えることができないか検討する
- 自動化できるか検討する
繰り返すようですが、仕事の目的を考えずに「いきなり時間を短くするための方法を考える」というのは最もやってはいけないことです。
その点には気をつけて効率化を進めるようにしていきましょう。
以上です。
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